倉敷市児島下の町の鴻八幡宮には、木造の「獅子」一対が所蔵されています。
『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』と呼ばれている木造「獅子」が、岡山県の有形文化財に指定されることになり、県文化財課からの指定書の交付式が、鴻八幡宮にて行われました。
県の重要文化財に指定されたことを記念して、2023年4月1日から3日までの3日間のみ、一般公開が予定されています。
【鴻八幡宮】『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』とは
足の裏に建武三年(1336年)と墨で書かれていることから、鎌倉時代後期から南北朝時代初期につくられ奉納されたと推定されています。地元の仏師・慶尊の作で、材質はヒノキで表面には胡粉をかけて漆塗りで、さらに金箔が施されています。
金箔で覆われていたなんて、当時は豪華絢爛だったに違いありませんね。
慶尊の作は総社市の善福寺にも所蔵されていて、備中地方で活躍した地元仏師の一人ではないかとされています。
口を大きく開けた阿形(あぎょう)と、口を閉じた吽形(うんぎょう)で一対となり、『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』と呼ばれています。
阿形像(あぎょうぞう)の高さが59.4cm、吽形像(うんぎょうぞう)が57.8cmで、鬣(たてがみ)の先が、阿形増は巻毛で吽形像は直毛で、 双方ともに雄で蹲居(そんきょ)の姿勢をとっています。
一対で鬣(たてがみ)に違いがあるなんて、とても驚きです。
元弘の乱(元弘元年、1331年)の後、幕府に捕らえられた後醍醐天皇は隠岐に、宗良(むねよし)親王は讃岐に流されました。当時、宗良親王は鴻八幡宮に立ち寄り戦勝を祈願された後、讃岐に向かわれました。
元弘三年(1333年)、鎌倉幕府が滅亡し、宗良親王は無事京都に帰還されます。そして、この勝利は鴻八幡宮の神徳によるものとして、彫工慶尊に命じて一対の獅子狛犬を彫らせて寄進されたといいます。
~『彫工慶尊の狛犬』鴻八幡宮のホームページより〜
【鴻八幡宮】『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』えっ!実は、狛犬じゃなかったの?!
この『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』は、今から約50年ほど前の1972年4月に、倉敷市の文化財に指定されていましたが、2021年に専門家による調査で、角がないことから狛犬ではなく「獅子」であると判断されました。
【鴻八幡宮】『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』改め、『彫工慶尊の木造獅子』ですね!
【鴻八幡宮】『彫工慶尊の狛犬(こまいぬ)』は木造獅子として県の重要文化財に指定
形式が鎌倉時代後期から南北朝時代初期のものであることと、保存状態が良いことから、2023年3月14日付で岡山県の重要文化財へ格上げされることになりました。
▼鴻八幡宮のツイートより
木造「獅子」が岡山県の有形文化財に指定され、県文化財課からの指定書の交付式が、鴻八幡宮にて行われました
— 鴻八幡宮 (@kouhachimangu) March 27, 2023
これに伴い4月1日~4月3日の3日間のみ、午前9時~午後4時まで鴻八幡宮社務所にて一般公開いたします#神社文化財#岡山県#倉敷市神社#獅子#狛犬#一般公開 pic.twitter.com/IJ1sXKeNQp
先日、鴻八幡宮で重要文化財の指定書の交付が行われ、神社の氏子代表が見守る中、河本貞紀宮司が指定書を受理されました。
▼こちらは、国指定の重要文化財(倉敷市美観地区)
【鴻八幡宮】木造獅子の特別一般公開
県重要文化財の指定を記念して、鴻八幡宮で木造獅子が特別に公開されます。
4月1日から3日までの3日間のみ、午前9時から午後4時までです。
【鴻八幡宮へのアクセス】
住所:〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町7-14-1
電話:086-472-3125
駐車場:約30台(境内にあります)
交通:(電車とバスの場合)JR瀬戸大橋線 児島駅から下電バス(JR児島駅前4番のりば)王子ヶ岳線で約15分、「堀江」停留所下車、徒歩3分。
(車の場合) 瀬戸中央自動車道 児島インターチェンジから児島駅方面(出口左折)へ。国道430号を東方向へ約20分、琴浦交番交差点(右に警鐘台)を左折し、300メートル先右側に鴻八幡宮の看板があります。右折すると参道です。約200メートルで大鳥居が見えてきます。正面が傾斜角16度の坂道で車は進入禁止です。左に車参道があります。
▼近くに【児島学生服資料館】があります。
おまけ【鴻八幡宮】について
■なりたち
鴻八幡宮は、約1300年前の大宝元年(701年)に創建されたと伝えられます。地元の総氏神としてこの地方に於ける信仰の中心であり、住民の心のよりどころとして崇められ、国家鎮護の神、厄除開運の神、殖産の神、更に最近では交通安全や安産の守神として広く崇敬されています。
また古社八幡宮として鎌倉時代は、歴代国司の崇敬はもとより、地方官民の崇敬を集めていました。
■祭神は宇佐神宮より勧請した五柱です。
譽田別尊(ホムダワケノミコト、応神天皇)
足仲彦尊(タラシナカツヒコノミコト、仲哀天皇)
息長帶姫命(オキナガタラシヒメノミコト、神功皇后)
玉依姫命(タマヨリヒメノミコト、神武天皇の母神)
仲姫命(ナカツヒメノミコト、応神天皇の后)
瀬戸内海沿岸の神社で「鴻の宮」として地元に親しまれ、近年では子授け祈願で知られています。
10月のお祭り「例大祭」が盛大で、19台もの「だんじり」や「千歳楽」が急斜参道を駆け上がります。
▼シロカベーノ君も参拝しました!
【鴻八幡宮】『彫工慶尊の木造「獅子」』を見ることのできる貴重な機会となります!児島が誇る歴史遺産をぜひ体感してみてください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。